フェイス/オフ 感想

  

FBIの捜査官(ジョン・トラボルタ)と殺人狂のテロリスト(ニコラス・ケイジ)の顔が入れ替えられる『他人の顔』刑事編。冒頭とラストのヤン・デ・ボン風アクションはハリウッドとの妥協の産物だから無視。『虹の彼方に』がBGMのペキンパー風大虐殺はウーよ、ウー!ウーは『ハードボイルド』のCZ75に続き、今回はソ連の珍銃スチェッキンフルオート射撃場面を披露。映画史上初の快挙!気付いてやらなきゃウーに悪いぜ!(町山智浩/映画秘宝期間限定版ベストテンなんかぶっとばせ!!)

1998年公開、『男たちの挽歌』などで有名なジョン・ウー監督のハリウッド進出3作目。

彼がハリウッドで監督した劇場長編映画は上記の6本。4作目の『ミッション:インポッシブル2』では公開年の世界興行収入1位となりましたが、5作目の『ウインドトーカーズ』が大コケ。6作目の『ペイチェック 消された記憶』を最後に活躍の場をアジアに戻しています。
また、近年は金城武長澤まさみらが出演した『The Crossing ザ・クロッシング』二部作や、福山雅治主演の『マンハント』で日本の役者とも仕事をしています。

W主人公の一人、FBI捜査官アーチャーを演じるのはジョン・トラボルタ。70年代スターからの長期低迷後『パルプ・フィクション』で復活。その後は本作含め良作に出演しながらも駄作への出演も多く、キャリアがやや安定しない印象。
ここ10年だとこれしか観てない。意外と面白かったw

そしてもう一人の主人公、テロリスト・トロイ役のニコラス・ケイジ。『リービング・ラスベガス』でアカデミー主演男優賞に輝いた直後なぜか?アクション大作の『ザ・ロック』、『コン・エアー』、本作と立て続けに出演。その後の作品選びを見ても、本人はこっち寄りの方が好きなんでしょうね。
最後に商業的に成功したのってこれになるんですかね?

ウィキによるとジョン・ウー作品の特徴として

  • ロングコートをはためかせ、両手に銃をもって華麗に立ち回る二丁拳銃アクション
  • 戦闘中に飛ぶ白い鳩
  • 同時に拳銃を向け合う2人の人物(メキシカン・スタンドオフ
  • 立て続けのカット割りからのスローモーション
  • 教会での残虐シーン

などが挙げられていますが、もちろんこの映画にも全部入ってます

独特のガンアクションは今観ても全く見劣りのしない迫力ですし、設定を活かした「入れ替わりもの」の面白さもしっかりと有り、尚且つ「善悪の二面性」や「失ったアイデンティティーを取り戻す」といったテーマまで入れ込んでくる手腕は見事。

私は香港時代の彼の作品は『男たちの挽歌』しか観たことがなく、その時の感想は「ガンアクションは凄いけどやや情緒的に過ぎる」というものだったのですが、そんな彼の個性とハリウッドのエンターテイメント性がバランスよくマッチしたのが本作なのではないでしょうか。