サイン 感想

  

2002年公開。『シックス・センス』の大ヒットで一躍有名になったM・ナイト・シャマランの監督5作目。

主演はメル・ギブソン。『マッドマックス』で一躍有名になり、その後も『リーサル・ウェポン』シリーズなどでヒットを飛ばし1995年の『ブレイブハート』ではアカデミー作品賞・監督賞も獲得している大スターです。
2006年の飲酒運転を皮切りにプライベートで様々な騒動を起こし、一時期ハリウッドから干されていましたが、最近はまた復活のきざしが見えて来ています。

共演には『ジョーカー』でのアカデミー主演男優賞受賞の記憶も新しいホアキン・フェニックス。公開当時の27歳という実年齢以上に若く見えます。

そして彼らに負けない演技を見せてくれた子役の二人。
兄役のロリー・カルキンはあのマコーレ・カルキンの弟。
妹役で、本作がデビューとなるアビゲイル・ブレスリンは後に『リトル・ミス・サンシャイン』での演技が高く評価されいくつもの賞を受けています。
 

さてそんな本作、映画秘宝年間ベストテンではベスト3位・ワースト4位と賛否分かれる結果に。世間的には否定意見が多かったようです。

私個人の感想としても話の導入の上手さや、所々入ってくる微妙なセンスのギャグシーンには好感を持ちつつも、宗教的テーマや家族愛を前面に押し出そうとするあまり、SF描写やエンターテイメント性が疎かになってしまった印象を受けました。前2作にあった「衝撃のラスト」が無かったのも観客をガッカリさせてしまった要因の一つかもしれません。

記憶違いだったら申し訳ないのですが、宇多丸さんが以前ラジオでクリストファー・ノーランの事を「頭のいいシャマラン」と称していた気がします(宇多丸さんはシャマランの大ファンです、念のため)。
二人とも言ってしまえば子供っぽい(シックス・センス』『アンブレイカブル』、本作の題材は「幽霊」「超人」「宇宙人」と小学生男子が喜びそうなものばかり。)、或いは一見馬鹿馬鹿しい題材を「それっぽく」見せてしまう技術に長けた監督であり、特にノーランはそれを「芸術っぽさ」にまで引き上げる事が出来るという点が、現在の二人の世間的な評価の差に繋がっているのではないかと思います。
逆に言えばシャマランのバランスの悪さやヘンテコさが所謂「シャマラニスト」にはチャーミングに見えるのではないでしょうか。実際私も上では文句じみた事を書きましたが、この作品嫌いじゃありません(笑)。