クラウド アトラス 感想


 
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現代の『イントレランス』。失敗かもしれないけど勇気ある冒険だよ。(町山智浩/映画秘宝2013年3月号)

2013年公開。監督はウォシャウスキー姉弟トム・ティクヴァ
この映画は6つのエピソードから出来ており、その内の3つずつをそれぞれが撮っています。

ウォシャウスキーといえば言わずと知れた『マトリックス』の監督ですが、当時は兄弟、『クラウド アトラス』公開時には、そして現在は姉妹となっています。

一方のトム・ティクヴァ、名前は初めて聞きましたが一本だけ監督作を観た事がありました。

さて本編の方ですが、上にも書いたようにこの映画は
1849年「波乱に満ちた航海の物語」主演:ジム・スタージェス
1931年「幻の名曲の誕生秘話」主演:ベン・ウィショー
1973年「巨大企業の陰謀」主演:ハル・ベリー
2012年「ある編集者の大脱走」主演:ジム・ブロードベント
2144年「伝説のクローン少女と革命」主演:ペ・ドゥナ
2321年「崩壊した地球での戦い」主演:トム・ハンクス
の6編が並行して描かれ、またそれぞれのエピソードの主人公を演じる役者が人種・性別を変え別人として他のエピソードに登場したりもします。

こうして聞くと混乱して訳が分からなくなりそうですが、実際に観てみるとそれぞれのエピソードのジャンルが全く異なっていたり、有名なスターが多く人物の見分けもつきやすいので意外とすんなり頭に入ってきましたし、終盤では各エピソードのクライマックスが並行して描かれるので盛り上がりも倍増しました。

また、同じ役者が演じているキャラクターは同じ魂の生まれ変わりという設定なので、あるエピソードで結ばれた男女が過去のエピソードでは夫婦だったり、逆に悲劇により結ばれなかった二人が未来のエピソードで結ばれたりするのも良かったし、時代によって善人だったり悪人だったり、逆にずっと善人(悪人)のキャラもいたりして面白かったです。

残念だった点を一つ挙げるとすれば特殊メイクでしょうか。欧米人がアジア人を演じるのはやはり無理がありましたし、性別を変えるのも笑うところなのか少し悩みました(特に2144年のハル・ベリーの男装はやりすぎ。逆に2012年のヒューゴ・ウィーヴィングの女装は良かったw)。

世間の評価は賛否両論・興行的にも成功とは言えなかったようですが、私は2時間52分の上映時間が全く長く感じませんでしたし中々の傑作だと思いました。