007 スペクター 感想

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宇多丸「007 スペクター spectre」感想を語る シネマハスラー

2015年公開。大ヒットした前作『スカイフォール』に続くダニエル・クレイグ版ボンドの4作目。
監督は同じく全作から続投のサム・メンデス。デビュー作『アメリカン・ビューティ』でいきなりオスカーを獲得し、本作が7作目。

フィルモグラフィを見ても分かる通り彼はどちらかと言うと作家性の強い監督であり、必然『スカイフォール』もそれまでの007シリーズと比べて格調の高い作品に仕上がっていました。
そんな前作の批評面・興行面の成功を受けての登場であった本作ですが、「原点回帰」とも言うべき荒唐無稽さや軽快さに内容を揺り戻した結果、ちょっと中途半端な出来になってしまったかなと言うのが個人的な感想です。

まず良かった点を挙げると前作から引き継いだ美しく計算された画面のリッチさ。特に冒頭のメキシコのシークエンスは長回しも相まって本作屈指の名シーンとなっていました。
しかしながら、その芸術性とシリーズの特徴である、ある種の「バカっぽい」設定との食い合わせが良くない。
クリストフ・ヴァルツ演じるブロフェルドも行動が間抜けに見えてしまったり、余計な背景を描いてしまった為に小物感が拭えなかったし、MI6の仲間たちも役者の佇まいは良いのですが変に活躍させようとしてストーリーが冗長になってしまっていたと思います(そういうのは『ミッション・インポッシブル』に任せておけばいいから!)。

今年の11月に公開予定の次回作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』では監督がキャリー・ジョージ・フクナガに交代。次はどんなボンド映画を見せてくれるのでしょうか。

※言い忘れましたが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のドラックス役でおなじみデイヴ・バウティスタが出演しています。下の感想でも述べていますが、やっぱり個性的な殺し屋が出て来ると007シリーズって感じがしていいですね。
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