深作オリジナルの部分が最高!「この国はダメになってしまいました」というセリフと失業と校内暴力の蔓延という状況を加えることで「戦後55年、結局日本は経済的にも精神的にも最低の国になってしまった。生きることの大切さを知り、ゼロからやり直すためにはもういちど心中覚悟で戦争するしかない!」という絶望的メッセージになった。また、友達殺しを拒否し続けた主人公が大人を殺すラストは「大人が作った社会がダメなら、さっさと大人を倒せ」という「親殺しのススメ」だ(『腹腹時計』は挫折した革命の残り火)。これが理解できない政治家や親はマジで打倒しなきゃ日本はダメだ!(町山智浩/映画秘宝2001年3月号)
2000年公開。高見広春の同名小説の映画化で、日本を代表する映画監督深作欣二の遺作。
2本しかまともに観た事なかった…
主演は藤原竜也と前田亜季。
クラスメート役にはデビュー当時の塚本高史や柴咲コウ、高岡蒼佑、栗山千明などの顔が見え、またゲーム直前に入ってきた謎の転校生役で安藤政信や現在政治家に転向した山本太郎の姿も。他にも『新世紀エヴァンゲリオン』のアスカ役で有名な宮村優子がゲーム説明VTRのお姉さん役で出演しています。
しかし、何と言っても別格の存在感を表しているのは担任教師役のビートたけしでしょう。全ての彼の出演シーンで、完全に場を支配していました。
公開当時は中学生同士が殺し合うと言う過激な内容から国会で取り上げられるなど話題となり、結果興行収入30億円を超える大ヒット。
現在まで続くデスゲーム系作品への影響や、タイトル自体も本来のバトルロイヤルとよく誤用される程一般名詞化しています。
また、もしかしたら海外の方が評価が高いのではと思う事もしばしば。『ハンガー・ゲーム』への影響が指摘されていますし、クエンティン・タランティーノもこの作品が大好きで、実際『キル・ビル』では栗山千明が起用されてもいます。
20年前の作品なのでセリフまわしや演出がやや古くさかったり、生徒役の若い俳優たちの演技が拙く感じた部分は正直ありましたが、アクションシーンなどは今観てもそんなに見劣りしませんし、観賞中退屈することは全くありませんでした。
一見すると突拍子もない設定も、大人の子供に対する無理解や恐怖心と言う背景がBR法成立の元であったり、深作監督が登場人物たちと同じ中学生だった時代には、実際に戦争で青年たちが銃を持たされていたと言う事実を知ると、とたんにリアルに感じられて来ます。
この映画は、大人のして来た事のツケを払わされている・これから払わされる現代の若者・子供にこそ響く内容なのかもしれないと、ガラにもなくちょっと真面目に考えてしまいました。