2010年代 テレビアニメ マイベストテン

現在のアニメーションを取り巻く環境は、ネットフリックスを始めとした配信サービスの台頭や、制作会社の劇場版へのシフトなど非常に流動化しており、もしかしたら将来的には「テレビアニメ」という枠組自体が意味をなさない時代が来るかもしれません。
そんな転換期となるかもしれない10年間の記憶として記事を残しておきたいと思います。

※全話完走作品は214本。意識してアニメを観始めたのは2016年からで、それ以前の作品は評判の良さそうなのを後追いした感じなので、まだ見ぬ名作も数多くあると思います。

10位『少女終末旅行


2017年10~12月放送。WHITE FOX制作、尾崎隆晴監督。

おそらく「面白さ」だけで言えば、この作品より上位に来るものは沢山あると思いますが、独特のSF世界観と哲学的なメッセージをそこはかとなく内包したストーリー が強く印象に残ったのでランクイン。
そして完璧なOPとED。ここまで曲が本編と一体となっている作品を他に知りません。
原作はくらげバンチに連載されていたつくみずの漫画作品。アニメは連載途中までしか描かれていませんが、ポストアポカリプスものなので、それ程ラストにぶつ切り感はありませんでした。
TVアニメ「 少女終末旅行 」オープニングテーマ「 動く、動く 」 TVアニメ「 少女終末旅行 」エンディングテーマ「 More One Night 」 少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)

9位『宝石の国


2017年10~12月放送。オレンジ制作、京極尚彦監督。

基本的にCGアニメーションは苦手なのですが、この作品はキャラクターが「宝石」である為、奇跡的なまでに上手くマッチングしていました。
唯一無二の世界観、キャラクター同士の関係性の妙、円谷作品を彷彿とさせる「毎週襲ってくる敵を迎え撃つ」というシチュエーションには自分の中の小学生男子が呼び起され、またオールスターのごとき豪華声優陣には耳が幸せになりました。
しかしながら原作漫画が現在も連載中(月刊アフタヌーン掲載・市川春子作)の為話が途中で終わっており、残念ながらやや減点となりました。
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8位『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。


2011年4~6月放送。A-1 Pictures制作、長井龍雪監督。

映画化・実写化もされた有名作品ではありますが、なかなか機会に恵まれずようやく2018年に観賞。
最終回の展開含めオッサンには観ていてやや照れ臭い部分もありましたが、作画等のクオリティの高さや、毎週視聴者を引き付けるクリフハンガーの上手さ(脚本は岡田麿里)で最後まで楽しめました。
また上記の二人に加え、『君の名は。』のキャラクターデザインでも有名な田中将賀とのトリオで制作した『心が叫びたがってるんだ。』『空の青さを知る人よ』といった劇場作品でも印象を残しました。
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7位『魔法少女まどか☆マギカ


2011年1~4月放送。シャフト制作、新房昭之監督。

いわゆる「アニメ絵」に対する偏見を払拭してくれた作品です。
放送時から評判は聞こえて来ていたのですが、絵柄に抵抗があり結局観たのは2014年頃。そして例に漏れず3話で衝撃を受け、10話で明かされる真実には脚本の上手さに舌を巻きました。
その後多くのフォロワーを生み出した事実からも分かるように、今後もマスターピースとして後世に残っていく名作だと思います。
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6位『四月は君の嘘


2014年10月~2015年3月放送。A-1 Pictures制作、イシグロキョウヘイ監督。

元々原作漫画(月刊少年マガジン掲載・新川直司作)のファンだった事もあり、リアルタイムで観賞。
ほぼ同時期に終了と言う、原作とアニメの最も幸せな形となった作品。
素晴らしい楽曲群とリアルな楽器演奏描写や美しい色彩設計という強みを活かし、原作とは違ったアニメならではの魅力を引き出せていたと思います。
イシグロ監督は2016年の『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』という傑作も印象に残りました(ゲームに続くストーリーの為未回収の伏線もありましたが)。
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5位『響け! ユーフォニアム


2015年4月~6月(1期)、2016年10月~12月(2期)放送。京都アニメーション制作、石原立也監督。

昨年非常に痛ましい事件のあった京アニの、10年代を代表する作品。
総集編2本とスピンオフ、昨年公開の完全新作の続編(2年生編)と、4本も映画化されています。
部活内のギスギスした人間関係等のリアルな描写や演奏シーンも勿論凄いのですが、なんと言っても主演・黒沢ともよの圧巻の演技力・表現力に尽きます。1期の「うまくなりたい」や2期の副部長・田中あすかと対峙するシーンは鳥肌が立ちました。
原作小説(宝島文庫、武田綾乃著)の最終章(3年生編)も映像化が決まっており、非常に楽しみです。
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4位『SHIROBAKO


2014年10月~2015年3月放送。P.A.WORKS制作、水島努監督。

社会人や集団でのモノ作りに関わった事のある人なら高確率で心に刺さる作品だと思います。また、これを観たおかげでアニメーションやそれに携わる人達へのリスペクトをより強く抱けるようになりました。
元々の観るきっかけとなったのは3位の作品と同じ監督だったという事であり、また2位の作品を観るきっかけはこの作品で制作会社に興味を持ったからという嬉しい連鎖もありました。
そしていよいよ今年の2月には完全新作の続編が劇場版として公開される事になっており、とても楽しみです。

3位『ガールズ&パンツァー


2012年10月~2013年3月放送。アクタス制作、水島努監督。

まどマギ』がアニメ絵に対する偏見を無くしてくれた作品であれば、こちらは「深夜テレビアニメ」に対する偏見を無くしてくれた作品。
最初キービジュアルをどこかで見かけた時は狙ったであろうタイトルも相まって「何だこりゃ、絶対観ないだろうな」というのが正直な感想だったのですが、劇場版の評判の高さに興味を持ち、タイミングよく無料配信されていたテレビシリーズを観てあまりの面白さに仰天。
かわいい女の子のキャラクター達に目を奪われがちですが、その実ストーリーはベタベタの王道スポ根であり、細部と動きに拘りまくった戦車描写もあってすっかり心を鷲掴みにされてしまいました(笑)。
また本編とは直接関係ないのですが、大洗町との良好な友好関係にも好印象を持ちました。
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2位『TARI TARI


2012年7~9月放送。P.A.WORKS制作、橋本昌和監督。

オリジナル作品であり、続編や劇場版もない為、他作品と比べると知名度は低いかもしれませんが個人的には大傑作だと思います。
橋本監督は『クレヨンしんちゃん』の劇場版を4作担当(『バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』『襲来!!宇宙人シリリ』『新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』)。
合唱をメインとした女3・男2のグループの青春ものなのですが、恋愛要素はほとんど無く、ヘイトを集めがちな男子2人が非常に好感が持てるキャラクターになっているのが特徴的。素晴らしい楽曲群と、笑いと感動のバランスの取れたストーリーで万人におすすめ出来る作品です。

1位『宇宙よりも遠い場所


2018年1~3月放送。マッドハウス制作、いしづかあつこ監督。

今後これを超える作品が出るか本気で心配するレベルの超名作
視聴者にストレスを与えないテンポ良い演出でありながら毎話きちんと山場を持って来る見事なストーリー構成。
南極を目指す女子高生4人を演じる声優陣の奇跡のバランス。
10年代デビューながらも先輩3人を相手に堂々とメインをはった水瀬いのり
12話での魂が震える名演。この作品でさらに一皮剥けたと感じた花澤香菜
ギャグもシリアスも見事にこなし、名バイプレーヤーとしての凄みをみせた井口裕香
多くの主演作を持つトップ声優だが、脇に回るとさらに作品を輝かせる早見沙織(ちなみに2・5・6・8・9位および3位作品の劇場版にも出演)。
あまりに完璧にまとまっている為、ほぼ続編の可能性が無いのが痛し痒しです(笑)。