サーティーン あの頃欲しかった愛のこと 感想

 
tomomachi.hatenadiary.org

エクソシスト』(73年)の本質は悪魔祓いではなく、12歳になった娘が突然、汚い言葉を吐き、親に暴力をふるうという、初潮を迎えて思春期になる娘を持つ親の恐怖だった。だから斉藤光正監督は、『積木くずし』の映画化で、13歳で不良化した渡辺典子がアイシャドウを塗って悪魔のような形相で暴れるシーンを『エクソシスト』そっくりに演出していた。『サーティーン』は『積木くずし』のアメリカ版だ。監督は『バニラ・スカイ』の美術監督キャサリン・ハードウィック。彼女は同業者であり、『マイノリティ・リポート』の美術監督仲間のセス・リードと交際中に、リードが別れた前妻のところに残した娘ニッキーと知り合った。ニッキーは当時13歳だったが、万引き、窃盗、飲酒、ドラッグ、ピアシング、乱交、と非行のフルコースを爆走していた。キャサリンがニッキーの体験を映画化したのが、この『サーティーン』だ。キャサリンと共に自分の体験をシナリオ化することで更生したニッキーも出演しているが、ヒロインではなく、ヒロインを悪の道に引きずり込む悪魔少女の役。『エクソシスト』でリーガンが十字架を性器に突き刺すシーンは、性的非行、自傷行為、ピアシング、堕胎などを象徴していたが、この映画では象徴ではなくそのものズバリとなる。これは娘を持つ親にとって近年最凶のホラー映画だ!(町山智浩/映画秘宝2004年3月号)

微妙な副題…。おそらく町山智浩さんのオススメじゃなかったら一生観る機会がなかった作品だと思います。
監督は『トワイライト〜初恋〜』のキャサリン・ハードウィック。本作で監督デビューを果たしました。
主人公のトレイシーには『レスラー』でミッキー・ロークの娘を演じていたエヴァン・レイチェル・ウッド
その母親にはオスカー女優のホリー・ハンター
そしてトレイシーを不良の道に引き込む友人・イーヴィ役には、これがデビュー作となるニッキー・リード。監督と共同で脚本も担当しており、そもそもこの物語は彼女の半自伝でもあります(トレイシーの方のモデル)。
ストーリーは幼さの残る13歳の少女トレイシーが、不良少女イーヴィと親しくなっていくとともに加速度的に堕落していく様と、そんな娘に戸惑いながらも必死に向き合おうとするシングルマザーの葛藤を中心に描いていきます。
ニッキー・リードの実体験(しかもほぼリアルタイム・制作当時彼女は14歳!)を元にしているだけあってとにかく描写がリアル。
町山さんが「娘を持つ親にとってはホラー」と仰っていましたが、私の感想も「女の子の親じゃなくて良かった!」というもの。
そして一緒に観た家内は色々身に覚えがあったようで、苦い顔をしていました(笑)。


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  ニッキー・リードも出演しています
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  ホリー・ハンターがアカデミー主演女優賞を受賞した作品