ミッドナイト・イン・パリ 感想


ミッドナイト・イン・パリ 町山智浩「ウディ・アレン見直した」

町山智浩の映画塾!「ミッドナイト・イン・パリ」<予習編> 【WOWOW】#69

ウディ・アレン久々の当たり映画!オーウェン・ウィルソン扮する主人公はハリウッドで仕事する脚本家で、婚約者と一緒にパリに行くんだ。彼は昔のパリが本当に好きで、あの頃のパリに戻りたいって話を脚本で書いてる。1920年代のパリには、フィッツジェラルドヘミングウェイやダリやピカソがいて最高だったと。要するに禁酒法時代に酒好きな人はみんなパリに逃げてきたのね。で、ウィルソンがパリの街で呆然としてると、真夜中に馬車が来て「乗りな」って言われる。乗ってみるとフィッツジェラルドがいて「遊ぼうぜ」って。さらにコール・ポーターがピアノ弾いてて、ジョセフィン・ベーカーが歌ってて、他にもピカソとかダリとかルイス・ブニュエルとかいっぱいいて、主人公はピカソが愛人にしてたモデルの女の子(マリオン・コティヤール)と恋に落ちる。真夜中12時に来る馬車に乗れば20年代のパリにタイムスリップできるんだけど、朝が来ると現在のパリに戻っちゃう。そこで、実際の婚約者との間で悩むんだよね。ジャック・フィニイってSF作家の小説「ふりだしに戻る」に近い話。
当時のパリの有名人が、みんなの想像通りの喋り方をしてるところが面白いね。ヘミングウェイならいつも「人生とは」「男とは」みたいな格言をやたらと言う。実際調べたらウディ・アレンヘミングウェイっぽい台詞を勝手に書いてるだけなんだけどね(笑)。ウィルソンが「ある家に集まった人たちが、ドアも開いてるのにどうしてもそこから出られなくなっちゃう話を作れば面白いんじゃない?」ってブニュエルに提案すると、「面白くないよ」って一蹴される。それってブニュエルの『皆殺しの天使』(62年)のストーリーそのままなの。結構マニアじゃないと面白くないギャグもいっぱい
あと、O・ウィルソンが『アニー・ホール』(77年)を撮った絶頂期のウディ・アレンの演技を完コピしてて最高。オドオドした喋り方とか、人の悪口を言い出したら止まらなくなる感じとか。ウィルソンも何年か前にケイト・ハドソンにフラれて自殺図ったじゃん?苦労したからだと思うんだけど、モテない男の気持ちがよく出てた!町山智浩/映画秘宝2012年3月号)

ウディ・アレン43作目の監督作。個人的には5作目の観賞となります。
↓過去に観た作品はこちら
アニー・ホール [Blu-ray] マッチポイント [Blu-ray] ローマでアモーレ Blu-ray ブルージャスミンBlu-ray
本作はヨーロッパの都市を舞台にしたアレンお得意のパターン。上記の中だと『ローマでアモーレ』が一番近いかな。
ただ、ストーリーはひねりがあって主人公は自身が憧れている1920年代のパリにタイムスリップします。
主題は「過去が黄金時代なんていうのは幻想だ。今自分が生きている時代にだってよく目を凝らせば黄金はある」みたいな感じだと思うのですが、それにしてもこの人はいとも簡単に次々と面白い小品を作りますね。
主演はルーク・ウィルソンウェス・アンダーソン監督作品の常連ですが、『カーズ』の主役・マックイーンの声優なんですね!ちなみに『アナコンダ』にも出てます(笑)
1920年代の有名人も色々と出てきます。
ガートルード・スタイン役のキャシー・ベイツはすぐに分かりますね。
他にはF・スコット・フィッツジェラルド役のトム・ヒドルストン。『アベンジャーズ』の敵役・ロキや最近だと『キングコング: 髑髏島の巨神』で主演しています。
あと、アーネスト・ヘミングウェイ役のコリー・ストール。どこかで見たことあるなと思ったら『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のピーター・ルッソ役の人でした。