ザ・レイド 感想

  

町山智浩 The RAID「ほぼアクションシーンのみ!」20120417

宇多丸が映画「ザ・レイド」を徹底批評
2012年公開、同年の「映画秘宝」年間ベスト1位作品。
確かに面白かったのですが、個人的には「1位はゲタを履かせ過ぎ」そして「もっと面白く出来たのにもったいない」という感想を持ちました。


格闘アクションに本格的な銃撃戦をプラスしたのは非常に新鮮でしたが、インドネシアの格闘技「シラット」に関しては、「アジア第三国の格闘アクション」という一面に於いてはすでに『マッハ!!!!!!!!』をはじめとするタイ・アクションを見てしまっている為、どうしてもインパクトが一段落ちてしまいます。


そしてなによりもったいないと感じたのはマッド・ドッグを演じたヤヤン・ルヒアンさんの扱い。
この映画のもう一人の主役である彼を世界中のほとんどの観客は一度も見た事がないので、「見た目はちっちゃいオジサンなのにメチャクチャ強い」という驚きを与える演出をして欲しかった。
具体的にいえば、まず序盤は「ギャングの幹部にマッド・ドッグという恐ろしい男がいる」という情報だけを観客に与え、ボスたちの登場シーンでも声だけで彼の姿は写さない。
そして初登場シーンはSWAT隊員たちの前に一人でフラっと現れ「一般の住民か?」と思わせておいて、一瞬で10人位の隊員を倒してしまうという風にすれば良かったのではないでしょうか。
また、SWAT隊長との対決で結構苦戦するのも良くなかった。ここは隊長の見せ場は別に作り、実際の対決では「物語上初めてマッド・ドッグにダメージを与える」程度に留め、基本的にはマッド・ドッグの圧勝にした方が良かったと思います。
そしてやはり彼が倒されてしまうとどうしても映画の魅力が半減してしまうので、マッド・ドッグは自分の哲学で行動するというキャラクターにして、ボスが彼の哲学に反する→マッド・ドッグがボスを殺す→主人公たちとの対決という流れの方が盛り上がったままラストを迎えられたと思います。


ストーリー上も警部補がらみの部分はいらなかったかなあ。主人公ラマと兄アンディの関係をもう少し掘り下げて、ドラマ部分はそれ一本に絞った方がスッキリしたのでは。