ディセント 感想

  

映画秘宝はなぜこのスティーブン・キング絶賛ホラーをちゃんと紹介しなかったの?(町山智浩/映画秘宝2007年3月号)

※ネタバレします
2006年公開。監督は本作が2作目のニール・マーシャル
2010年の4作目『センチュリオン』の後はしばらくテレビドラマの仕事をしていましたが、2019年『ヘルボーイ』のリメイクで映画に復帰。
 
彼の作品は初見でしたが、映画監督を目指したきっかけが『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』と聞いてなんとなく納得。
他にも、セリフでも出てきましたが「トゥームレイダー」のララ・クロフトが大好きなんだろうなと言うのも良く分かりました(笑)。
 

ストーリーは、事故で夫と娘を亡くしてしまった主人公サラを励ます為に友人たちが彼女を洞窟探検旅行に誘うところから始まります。
序盤はそんな彼女たち6人の探検の様子が描かれるのですが、これが閉所恐怖症の人には耐えられない閉塞感たっぷりのリアルな描写。
そんな中崩落事故で出口が塞がれたり、旅行の企画者ジュノが皆を騙して未踏の洞窟に連れて来ていたと言う超悪質なドッキリが発覚したり、イキりキャラのホリーが穴に落ちて足を骨折したりとお約束が続くのですが、ここで急展開。

地底人(人食い)が現れます。

この「え、そう言う映画だったの?」って作品、一番古い記憶は『フロム・ダスク・ティル・ドーン』なんだけど、元祖は何なんですかね?

ちなみにこの地底人、目が退化して見えない為聴覚が異常に発達していると言う設定は良いのですが、「そんな近くに居るのに嗅覚は無いの?」とか「火の傍で熱さは感じないの?」とかややツッコミ所が。

ともあれ、ここからはホラーというよりもモンスターパニック・アクションに。
バラバラになった仲間が一人、また一人と殺られていく中、最後まで生き残ったサラとジュノは前述のララ・クロフトよろしく女戦士化して地底人を殺しまくりますこの地底人がたいして強くないのもGood)。

実はジュノは途中、地底人を攻撃中に誤って仲間のベスを手にかけてパニックを起こし逃げてしまっていたのですが、瀕死の彼女を発見したサラは、その口からジュノにやられた事に加えジュノがサラの夫と不倫していたと言う事実を聞いてしまいます。
私はあまりホラーを観る方では無いのですが、この女同士のドロドロを挟んで来るのはちょっと新鮮に感じました。

その事にブチ切れたサラは、再会しせっかく二人で協力して困難を乗り切ろうとしていたジュノを刺してバケモノの巣に放置してしまいます。
確かにジュノは色々とやらかしましたが、私は正直そこまで酷い目にあわされる程かなと感じました。
やるならもっとジュノを悪人に描くか、あるいは二人の誤解やすれ違いによる悲劇として見せた方が良かったと思います。

と言うわけで、けしてつまらなくはなく良いところもあったのですが、もう少し脚本を練ればもっと面白くなったかなと言うのが正直な感想です。

あと全編暗闇の中だから誰が誰だか分かりづらいよ!


ちゃんとした続編もあります。あまり評判はよろしくないみたいですけど…