インセプション 感想




ヌーヴェルヴァーグみたいな内容を娯楽映画に仕上げただけで凄い。「砂丘」とかいろんな映画の細かい部分をパクッてるけど、ノーランはそれだけ広く映画を観てる。でも『パプリカ』観てないってのはウソだろ。(町山智浩/映画秘宝2011年3月号)

2010年公開。
監督はクリストファー・ノーラン。あの『ダークナイト』の次作ということで、かなり世間のハードルが上がっていたと思うのですがなかなか見応えのある作品で楽しく観れました。
夢の中でアイデアを盗むという設定や、実際の夢の世界観(特にアリアドネエレン・ペイジ)が町を逆さまにするところと「第二層」の無重力シーンが素晴らしかった)も面白かったです。
ただこの監督、ツっこみたくなるところも多いんですよね(笑。
SF設定に関しての矛盾点などは詳しい方に譲るとして、ここではストーリー・脚本に関して私が不満に感じたところを書きたいと思います。


※ネタバレします

宣伝等で「他人の夢に侵入し、アイデアを盗む」みたいな説明をしていたと思うのですが、実際そんな場面は一度も出てきません(全てコブのチームメンバーの夢)

  • 冒頭シーン

コブレオナルド・ディカプリオ)が波打ち際で目覚めるシーン。実はここは第四階層(リンボー)なのですが、劇中でこのリンボーの話題が出る度に観客はどんな所かと想像するのに、既に見てしまっているのでインパクトが薄れてしまいます

  • コブは優秀?

実はこの作品を通して、コブのチームは失敗ばかりしています。どうも一流の産業スパイには見えないのですが、ここは例えば「第三階層まで潜れるのはコブだけ」とかの設定にすれば良かったのではないでしょうか

コブにサイトー渡辺謙)のアイデアを盗むよう依頼してきた会社。でもこれだとサイトーがコブをテストしたのは偶然という事になってしまいますし、その後のストーリーにも絡んできません。最初の依頼もサイトーが仕組んだという事にした方が、イームストム・ハーディ)をスカウトするシーンでの逃走劇も丸々カット出来て全体的にもスッキリしたのではないでしょうか

  • 調査不足

夢の中でターゲットのロバートキリアン・マーフィー)の護衛部隊から襲撃を受けるコブのチーム。アーサー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)は「調査不足だった」のひと言で済ませていましたが、それではあんまりなので、例えば
アーサー「まさか潜在意識の防護訓練を受けている民間人がいるなんて!」
コブ「大企業の御曹司だ。その可能性を考えなかったのか!」
みたいなセリフを言わせれば、もう少しすんなり受け入れられたと思うのですが…


と、まあこんなところですかね。
もし続編が作られるなら、スマートに作戦を遂行するコブたちも見てみたいです。